妊婦さんのむくみ
妊娠後半期にむくみを覚えることは珍しくない。むくみは目に見えるので妊婦はどうしてもそちらに注意を向けてしまうが、正常妊婦の約30%にむくみは見られ、それのみでは病的とはいえない。むくみは妊娠後半期の体内への生理的水分貯留、循環血液量の増加、子宮による静脈環流の減少により、ある程度見られる生理現象といってよい。誤解をまねくので、浮腫、高血圧、たんぱく尿を主症状とする妊娠中毒症の病名は使わなくなった。妊婦と胎児にとって危険因子になるのは高血圧と付随するたんぱく尿の方で、まとめて妊娠高血圧症候群と呼ぶ。むくみだけで妊婦と胎児への危険を過度に警告することは慎まなければならない。妊娠高血圧症候群を発症した妊婦では浮腫の発生頻度は正常妊婦に比べてやや高いが、母児の予後には影響しないこともわかっている。一時期、浮腫も含め、妊娠中の体重を厳密にコントロールする試みがなされた。
現在では最終的に体重増加が非妊娠時の11キロから16キロぐらいの間に収まれば、さほど厳密にコントロールする必要はなく、栄養のバランスさえ取れていればよいとの考え方になっている。
日本経済新聞2007年4月3日〜体のシグナル/妊娠中のむくみ(田坂クリニック院長・田坂慶一氏による)〜より紹介しました
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