理想の睡眠を求めずに
(外来の眠れないと訴える患者さんたちに)「どのように眠れるようになりたいのか」と尋ねると、同じような答えが返ってくる。「毎晩眠る直前まで活発に過ごし、ぐっすりと眠り、朝はすっきり目覚めると同時にしっかりと活動できるようになりたい」と。快眠という言葉が表すのもほぼ同様のイメージだろう。これを基準にしたら、誰の眠りも不満足なものになってしまうだろう。
体内の温度を積極的に下げ脳と体をしっかり休息させるシステムが睡眠だ。その準備として眠る前に皮膚から熱を逃がす仕組みが働く。この時、皮膚温が上がりぽかぽかと感じる。体内の温度が十分下がると脳は体は睡眠に入る。また起床時は2時間くらい前から体の内部体温が徐々に上がり、活動の準備が始まる。体の内部温度がさらに上がり、活動に適した状態になるには、起床してからさらに1時間くらいはかかる。
眠る直前まで頭を活発に働かすようなことはせず、夜はゆったりと過ごして眠気を感じてから床につけばいい、本格的に目が覚めてくるまで1時間かかるのなら、すっきり目覚めることができなくともよしとする方が自然だ。理想的な眠りを求めるのではなく、睡眠と上手につきあうことが健康には大切だ。
日本経済新聞2007年1月14日〜SUNDAY NIKKEI α/睡眠を知る〜より一部紹介しました